MARSの登場

公開日 2023年03月29日

NEXTAフレンズ

 NEXTAで行われているモーター産業プロジェクトでは、優れた磁気特性を持つ磁性アモルファス合金箔を活かした高効率アモルファス・モーターコアの世界初の量産化を目指し、難加工材であるアモルファス箔の加工技術の研究・開発が進められています。(モータ産業プロジェクトについてはモータ産業プロジェクト➀モータ産業プロジェクト②でもご紹介しました)
 このカギを握るのが(走査)透過電子顕微鏡((S)TEM)による、磁性アモルファス合金箔の変形プロセスの原子~ナノレベル観察です。しかしこれは、一筋縄ではいかない難課題です。
 これまでの(S)TEMでは、試料を強い磁場の中に入れる必要があったため、磁場の影響を強く受ける磁性材料の原子レベル観察はきわめて困難であったのです。一方で、2019年に世界で初めて、東京大学と日本電子は、「原子分解能磁場フリー電子顕微鏡(MARS)」の開発に成功しました。
 今回世界で二番目にNEXTAに導入されたMARSは、無磁場または制御された磁場下における磁性金属材料の変形過程の直接観察という目的に特化して新たに設計・製作された、現時点では事実上世界で一台しかない、最新鋭の装置です。
 NEXTAモーター産業プロジェクトにおいて、この装置を駆使して得られる新知見は、高効率アモルファス・モーターコアの量産化への貢献を通して、現代の最重要課題の一つである省エネルギー問題の解決に役立ちます。この装置はさらに、社会を支える最も重要な構造材料である、磁性を有する鉄鋼材料の高度化に役立つことが期待されています。

 


 


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