公開日 2021年01月12日
次世代たたら協創センター(NEXTA)に若林 英輝先生が着任され、早速研究活動に邁進されています。島根については、「自然にも食にも恵まれた良い環境。たたら製鉄や松江城など、文化や歴史に触れられる点が素晴らしい。」との印象をお聞かせいただきました。若林先生の研究のご発展と、益々のご活躍をお祈りしております!
以下にご回答いただいたメッセージをご紹介します。
● 先生の研究テーマについて教えて下さい。
金属材料の組織形成や力学特性についての実験・計算科学的手法を用いた研究を行っています。実用の金属材料には色々な元素が添加されており、組成やミクロやナノレベルでの構造(組織)を変化させることで様々な特性を付与しています。組織と特性の関係を評価し、優れた特性を付与するためにはどのような組織にし、その組織に制御するためにはどのプロセスを経ればよいのかを研究しています。現在は、航空機に使用される耐熱材料を扱っており、大型素材の内部での組成や組織の不均一性に起因した強度低下を抑制する手法の構築を目指しています。
● NEXTAではどのようなことにチャレンジしたいですか?
金属材料は、組成が同じであってもプロセスを変化させることで全く異なる組織や特性を示します。金属組織に現れる幾何学的な模様は美しく、意図した組織に制御できたときには心が弾みます。NEXTAでは、組織と力学特性の関係を実験的に調べるだけでなく、計算による予測にも取り組み、材料の研究・開発を行っていきたいと考えています。また、国内外の研究機関や企業の方々と協働して、学術だけでなく産業への貢献ができるように努力していきたいです。
● 研究者を目指す学生へ、メッセージをお願いします。
研究では、ある事象や現象を説明するために、学問に基づいて仮説を立てて検証するという方法があります。立てた仮説どおりの結果がすぐに得られることは少なく、試行錯誤することの方が多いように感じます。上手くいかない原因を考える過程で新たな発想や発見があり、上手くいった場合よりも結果として多くのことを学べることが往々にしてあります。よい結果を得るためには綿密な準備が大事ですが、上手くいかないことを恐れずに果敢に挑戦し続けていただきたいと思います。