新任研究者のご紹介~平山 尚美 准教授~

公開日 2020年09月07日

Dr.Hirayama
 次世代たたら協創センター(NEXTA)の新たな専任教員・研究者として平山尚美先生が着任されました。着任を機に東京から移り住まれた平山先生は、島根の印象について「自然豊かで研究環境としても住環境としても素晴らしい。地域社会と大学の距離感が近く、地元テレビ局の番組でNEXTAが紹介されたことに驚いた。」との事、「また取材に来ていただけるよう、面白い研究成果を得るべく頑張りたい。」と研究活動に励まれています。以下、ご回答いただいたメッセージをご紹介します。

● 先生の研究テーマについて教えて下さい。
 半導体や金属の、電気的性質や熱電特性などの物性を、理論計算の手法を用いて研究しています。
 NEXTAでのテーマはFe基アモルファス合金です。アモルファスは、原子が規則正しく並ぶ通常の結晶とは異なり、周期的な構造をもたない物質です。Fe基アモルファス合金は軟磁性を示し、モーターの鉄芯に使用するとエネルギーの損失(鉄損)が少ないという優れた特長をもちますが、硬くて脆いため加工がむずかしいという問題もあります。
 そこで、物性物理学や計算機シミュレーションの手法を用いて、この物質の長所(優れた軟磁性と鉄損の低さ)を維持しつつ、加工しやすい材料を作る方法を探りたいと考えています。この目的のため、まずは物性(力学特性や磁性など)のメカニズムをミクロな構造や電子状態から理解し、次に、その知見をもとに新しい材料の設計指針を提案していきたいと思います。

 

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● NEXTAでの目標をお聞かせください。
 NEXTAは、「次世代たたら文化の創造」という目標のもと、多彩な分野の研究者が集結し、地元企業などの産業界とも連携して研究開発を行う機関です。このような環境で研究できることは、物質科学分野の研究者として幸運なことだと思います。
 最近よく思い出すのは、鉄鋼分野のパイオニアである本多 光太郎先生の「産業は学問の道場」という言葉です。私も、大学という枠を超えて研究結果を実地に応用し、そこからのフィードバックによりさらに研究を発展させることで、学問を鍛えていきたいと思います。そのような活動を通して、新しいものづくり文化の創生に貢献することが今後の目標です。


 

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●研究者を目指す学生へ、メッセージをお願いします。
 研究者が活躍する分野や職場は多々ありますが、「自分が好きなことや楽しいと感じることを通して人に喜んでもらえる仕事」に就くことをおすすめしたいです。「好きなことや楽しいこと」とは、自分自身の純粋な興味や価値観、自分の性に合うことです。子供のころ、周囲が見えなくなるほど何かに夢中になった経験はないでしょうか?そんな“子供心”から研究者という職業に関心をもたれたのなら、ぜひ学問を学んでください。
 また、子供心に描いたことを仕事として実現するには、大人の能力も必要になります。大学での勉強や研究活動を通して、学問的な知識だけでなく、自分の個性を発展させて、社会に役立てる方法も学んでいただきたいと思います。自然と科学を愛する皆様が、ご自身の個性を社会で活かす力を身に付けられることを願っています。