身体の中の金属

公開日 2023年02月07日

1_
 

身体の中の金属
 私たちの体は食べたもの、飲んだものなど外から取り入れたものでできているのは認識できているかな。ご飯を食べると米は炭水化物だから炭素(C)と水素(H)と酸素(O)で構成されている。タンパク質の大部分はさまざまなアミノ酸の組み合わせで、アミノ酸の中には窒素(N)や硫黄(S)などが含まれている。タンパク質は人体を形作っているだけでなく、血液を通して酸素、栄養、ミネラルなどを運搬する物質として、また調節物質として重要なホルモンの多くもタンパク質だね。タンパク質を作っているアミノ酸の中には体内で合成できず、外部から取り入れなければならないものがある。これらは肉類や魚類や穀類、豆類などから摂取される。また肉類などに含まれ、炒め物や揚げ物に使う油や脂肪、味をつけるのに使う食塩や香辛料、野菜や果物に含まれるビタミン類など摂ると、それらを構成している元素が体内に入り、体内で分解され、腸などで吸収され、血液の流れにのって体内をかけめぐり、体の一部になっていく。使われなかったものが腎臓でろ過されたり、腸から体外へ排出される。
 身体の中に入っている金属はイオンの形で入っている。鉄(Fe)は血液中のヘモグロビン(これは輸送にかかわるタンパク質)に含まれていて、これが酸素を体中に運ぶ役割を果たしている。欠乏すると貧血になる。銅(Cu)は欠乏すると貧血や毛髪障害、脳障害などを起こすと言われている。亜鉛(Zn)も必要な元素で欠乏すると味覚障害が起きる。ジャンクフードばかり食べていると亜鉛の欠乏症になると言う話もあったようだ。クロム(Cr)は糖やコレステロールの代謝に不可欠だけど、6価クロムは毒になる。骨の材料として知られているカルシウム(Ca)も金属の仲間だよ。骨を作る骨芽(こつが)細胞やできた骨からカルシウムイオンを取り出したりする破骨(はこつ)細胞の働きのバランスが壊れてしまうと骨粗しょう症になったりする。骨の成分として知られているだけでなく、血液、筋肉、神経の中にもあり、情報伝達のためにも必要な元素だね。周期表のCa近くにあるカリウム(K)も金属の仲間だ。タンパク質の合成に使われたり、生命維持のための情報伝達などに利用される。周期表でカリウムの上にあるのがナトリウム(Na)だね。これも金属の仲間だ。カリウムと同様に調節機能に使われている。塩化ナトリウム(NaCl)というと塩だね。採り過ぎると高血圧になると言われている。その隣にあるマグネシウム(Mg)も必要な元素だね。欠乏すると筋肉の震えや脈の乱れが起きる。金属のマグネシウムは軽いのでコンピュータの筐体にも使われる(金属の密度について詳しくは、『アロイ先生登場』へ)
 身体に必要な元素はマクロミネラル、ミクロミネラル、微量ミネラルとか呼ばれている。どんなものが必要とされるか調べてみよう。ついでに、食べ物の好き嫌いはなくした方がいいね。

 

その他参考文献
・道端齊著、『生元素とは何か』、NHK出版
・廣瀬千秋訳、『実感する化学』、NTS出版
 


 

 

 

アロイ先生への質問募集中です!いままでのコラムについての質問や、金属に関する疑問などこちらからお気軽にお送りください。