鉛の話

公開日 2023年01月24日

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 鉛はその昔、まんがに描かれているように甘味料として使われていた。すると体内に入っていき、体に悪い作用があることがわかってきて、現在は使われていない。真偽のほどは確かではないけれど、ベートーベンの耳が聞こえなくなったのはワインに含まれていた鉛のせいだともいわれている。おしろいにも含まれていたということだけど、これも今は使われていない。
 X線の話から始めよう。これはドイツの南部にあるビュルツブルグ大学のレントゲンという人が偶然見つけだしたものだ。ちょっと横道にそれるとビュルツブルグからフュッセンまでの街道をロマンティック街道と言って中世の面影を残す街がたくさんあるよ。レントゲンは陰極線の研究をしていて、近くにあった蛍光版が光っているのに気づき、何かが出ているがその正体や性質がわからずX線という名前を付けた。紙とか木を透過し、人間の骨は通らないことを見出した。19世紀の終わりのことだね。このことによってレントゲンは第1回ノーベル物理学賞の受賞をしたんだ。
 鉛の話に戻ろう。昔は甘味料などに使われていたけど、体に悪いからと鉛は必要のない金属かと言うとそんなことはない。先ほどのX線は現在では健康診断の胸部の診断にも使われているけど、当たり過ぎると体によくない。なぜよくないかと言うと、X線は後に波長の短い電磁波であることがわかり、波長が短いのでエネルギーが高く、生物の細胞の中のDNAなどに影響を与えることがわかってきた。検査する人は多くの人を調べるので、なるべく当たらないようにしている。X線は鉛を通らないから遮るのに鉛が使われているね。その他には車のバッテリーにも使われているよ。
 レントゲンのように偶然が発端となって何かを発見することはよくあることだね。不思議だと思うこと、気が付くことはとても大切だね。世の中にはまだまだ分からないことがたくさんあるよ。みんなもいろいろなことに気づいて発見や発明につながるといいね。
 新しい工夫ができることもとても大切だね。そのためには広い視野を持って自由に考えられることが必要だね。

 

 

 

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