アロイ=合金

公開日 2022年12月27日

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 周期表の中には金属に分類されるものはたくさんあって、世の中にも金属はあふれるほどあるけど、単体の金属で使われているものはほとんどないと考えていいよ。
 皆さんの家の台所にある包丁は、錆びにくいステンレス製のものが多いかもしれないね。これは主に鉄(Fe)とクロム(Cr)を混ぜた「合金(alloy)」といわれるものだよ。プロの日本料理人の方がもっているのは鉄(Fe)と炭素(C)でできた炭素鋼といわれるものが多いかな。世の中で「鉄」とよく言われているもののほとんどは、実は鋼(はがね)で、鉄に炭素を混ぜて作られている。鉄に炭素を混ぜると、炭素の量を加減することによって硬さを調整できるので昔から便利に使われてきたんだね。でも昔の人は炭素の量を測るなんてことはできなかったから、経験的に手に入れた技術だったんだね。
 銅(Cu)も昔から使われてきた金属だけど、銅に錫(Sn)を混ぜた方が溶ける温度が低くなるから、扱いやすくなる。さらに銅だけよりも硬いので便利だ。これが青銅器時代のスター、青銅(ブロンズ)だね。紀元前6000年ころのことと言われている。どうして金属の銅が見いだされたのかはよくわからないけど、想像するに銅の融点は1084℃で比較的低く、火を使うための炉を作っていた石や土の中に銅鉱石が混じっていて、火を使った後に金属の銅が出てきたのを偶然発見した人がいたのかもしれないね。まさに「ご先祖さますごい!」だね。
 ジュースやビールのアルミ缶もアルミニウム(Al)にマンガン(Mn)やマグネシウム(Mg)などを混ぜたアルミ合金だよ(1)
 どうして合金にしたのかというと、金属をうまく混ぜ合わせることによって利用する目的に応じ、扱いやすくしたい、硬くしたい、錆びないようにしたい、という人々の要望を満たすことができることがわかり、多くの人々が工夫を重ねた結果だね。皆さんも新しい合金を開発する人になれるかもしれないね。

参考文献
(1)住友金属テクノロジー株式会社編著、金属の素顔にせまる―電子顕微鏡で見る日用品-、Gakken

 

 

 

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