公開日 2022年11月08日
永久磁石
永久磁石材料の開発の歴史をざっと眺めてみよう。(1),(2) 鉄と酸素の化合物、砂鉄の中にも含まれている、磁鉄鉱(Fe3O4)がおそらく最初の永久磁石かな。永久磁石の有用性に気づいて、より「我慢強い」永久磁石材料の開発が行われてきた。1917年、本多光太郎が開発したKS鋼、1931年に三島徳七の開発したMK鋼(Fe-Ni-Al系合金)、1933年にアルニコ磁石、1937年フェライト磁石、1970年代にサマリウムコバルト(Sm-Co)磁石、1982年佐川眞人によるネオジム(Nd-Fe-B)磁石は最初のKS鋼の60倍にもなる。日本の材料工学者が開発した材料がほとんどだよ。
永久磁石材料の開発は元素を混ぜ合わせてできる合金や化合物をつくるだけでなく、「我慢強さ」をいかにして作り出すかということも重要なんだ。どんな元素でできているか周期表で見てみるのも面白いかもしれないね。「我慢強さ」を作り出すのにどんなことがなされているか調べてみるのもいいかもしれないね。これまでは研究者の経験と勘、試行錯誤による部分が大きかったけど、AIの活用によってこれまでにないプロセスも可能になってくるかもしれないね。
KS鋼を開発した本多光太郎は「学問のあるところに技術は育つ。技術のあるところに産業は発展する。産業は学問の道場である。」という言葉を残している。皆さんも多くの基礎的なことを学んで、新しい技術を見つけて、これからの世の中を平和で住みよい世界にしていってほしいな。
参考資料/URLについて
(1) 木村康夫、鋳造工学 68巻(1996),永久磁石材料の歴史 265-274.
(2) 杉本諭、まてりあ56巻(2017),永久磁石材料の最近の研究 181-185.