公開日 2022年09月06日
やわらかい金属
金属がやわらかいって何が起こっているんだろう。原子レベルの話をしなくてはいけないんだけど大丈夫かな。
柔らかいものというと、はんぺん、とうふ、プリン、・・・。でもこれらはやわらかいと言っていじっていると壊れてしまいますね。やわらかい金属は、壊れはしません。引っぱったり、叩いたりするとだんだんと伸びていきます。これを延性、展性といい、金属の示す性質の一つですね。
「硬い!?金属のイメージ」のところで話をした「弾性変形」に対して、元に戻らない変形のことを「塑性(そせい)変形」とよびます。弾性変形の場合は原子間の結合は切れない程度に伸びたり縮んだりし、応力と歪は比例関係になっています(フックの法則)。比例係数には弾性率とかヤング率とか言われるものがあります。塑性変形はこの比例関係から外れる変形だよ。原子間の結合が部分的に切れてしまい、別の原子との結合が生じるので元の形に戻れなくなってしまう。切れてはつながりが次々に起こって、決して切れてはしまわないので金属は伸びるんだね。金属特有の性質だから金属結合なんていう言葉もある。
金はこの性質に優れ、薄い金箔が作られるんだね。銀もこの性質に優れているので銀線細工ができるんだね。錫(すず)もやわらかい金属で、食器などに使われたりする。だけど、温度が下がって原子同士の結合の仕方が変わると(結晶構造が変わり)脆くなってしまうので食器などには使えなくなる。
ちなみに、ばねは弾性変形を利用したもので塑性変形を利用したものではないよ。さて、今回は弾性変形、塑性変形、応力、歪なんて言う言葉がたくさん出てきたけど、これらの意味を調べてみてはどうかな。
次回は・・・「都市鉱山」 9月20日(火)(予定)
お楽しみに!