金属のひみつ-2-

公開日 2022年08月16日

(前回のコラムの続きです。今回は「温度を下げるとどうなるか」についてアロイ先生が詳しく語ってくださっています。)
 

温度を下げるとどうなるの?
 
前回は温度を上げていったときの話をしたけれど、今回は逆に温度を下げていくことを考えてみよう。このときも金属のひみつが隠されているよ。鉄の中に約3%の炭素が混ざった液体の鉄の状態から温度をゆっくり下げてみよう。1350℃くらいで炭素が混じった固体になるよ。この状態はオーステナイトだね。さらに温度をゆっくりと下げていくと740℃くらいでフェライトとセメンタイトが混ざった固体になる。真珠みたいに輝いて見えるのでパーライトと呼ばれる。光学顕微鏡で見て見るとオーステナイトの時と様子が違って見えるはずだよ。
 ひみつと言うのはここからだよ。さっきはゆっくりと温度を下げたけど、オーステナイトの状態から水につけたりして急激に温度を下げると、さっきとは違ったものができる。光学顕微鏡で見ると緻密なものが見えるはずだよ。これは急冷したからできるもので、マルテンサイトと呼ばれるものだよ。これも相変態だよ。
 さて、ここでビデオを見て見よう。ピアノ線って知っているかな。ホームセンターなんかで売っていると思うけれど、これを使って、熱した後で急激に冷やすと性質が変わることを見てみよう。

どうだろう。君達でもできそうな実験だね。でも金属を熱すると熱くなるから火傷には気をつけないといけないね(一人でやらないほうがいいね)。何が起こっているんだろう。調べてみても面白いかもしれないね。こんな具合に冷やし方一つで性質の違うものができてしまうのも鉄の魅力の一つかな。


次回は・・・「課題」  8月23日(火)(予定)     お楽しみに!
 

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