金属のひみつ-1-

公開日 2022年08月09日

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温度を上げるとどうなるの?
 氷は冷凍庫の中では溶けないけれど、外に出すと溶けるね。外部の温度が氷の溶ける温度、0℃(氷の融点)より高いからだね。同じように固体はその融点より温度を上げると溶ける。
現代の製鉄法では鉄鉱石を高温にして溶かして鉄鉱石に含まれている不純物を、化学反応を利用してとり除き、鉄だけになるようにして金属の鉄をつくるよ。でも純粋に鉄だけにするのは難しくて、不純物はわずかに混じる。鉄の中に溶けた炭素の量によって鉄の性質は随分と変わる。それを制御して鉄や鋼は作られるんだね。たたら製鉄では砂鉄を溶かしてしまわないで鉄をつくると考えられている。
 鉄の温度を上げていくと原子と原子の間隔がだんだん広がって伸びる。さらに原子の並び方が変化することもある。これを相変態とか相転移と言っている。鉄では912℃で原子の並び方が変わり、その時には体積が急に減少する。そのまま再び温度を上げていくと1394℃でふたたび原子の並び方が変わる。このときには体積が急に膨張する。再び温度を上げていくと1538℃で溶けて液体になる。それぞれの固体の状態に名前がついていて、室温から912℃までをフェライト、ここから1394℃までをオーステナイト。さらに温度を上げ、溶けるまでをデルタフェライトと呼んでいる。鉄の中に炭素が溶けていると性質とともに相変態する温度も変わってくるよ。
 このような変化を示したものを状態図とか相図と呼んでいる。鉄と炭素の状態図はどんなものか調べてみてはどうだろう。

次回は・・・「金属のひみつ-2-」温度を下げるとどうなるの?  8月16日(火)(予定)  

お楽しみに!

 

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