たたらと伝統文化①

公開日 2022年07月12日

1_
鉄は熱いうちに打てってどういうこと?
 広辞苑によると「(西洋のことわざから)鉄は熱して柔らかいうちに打って鍛えるように、人も純粋な気持ちを失わない若いうちに鍛錬すべきである。また、物事を行うには、それに適切な時期を逸してはいけない」とあります。実は西洋から入ってきたのにそう思っていない人は結構多いんじゃないかな。西洋ってどこかなと思っていましたが、オランダらしいですね。英語ではStrike while the iron is hot. といいますね。
 鉄は熱するとどうなるのかな。熱していくと次第に赤っぽくなって、さらに熱すると白っぽくなってくるね。この色は温度に対応しているんだよ。19世紀、製鉄業などの産業が発達してきて、高温の物体の温度を知りたいと、色と温度の関係をいろいろな人が研究していた。波長の短い時にはウイーンの式が、波長の長い時にはレイリー・ジーンズの式が合うといわれた。プランクはすべての波長でうまく合うような式を考案した。これが量子力学の発展につながるんだね。
 刀匠は日本刀を焼き入れる時、夜中に仕事をすると聞いたことがある。色を見て最適な温度を見極めるためには、昼間の光の下では色が分かりにくいんだろうね。温度計がなくても色で温度が判断できたんだね。たたら製鉄で操業を行うとき技術全体をつかさどる人を村下(むらげ)と言いますが、炎の色やホド(炉の中を覗ける小さな小穴)から覗いて温度を確かめているようだよ。経験的に色で温度を判断していたなんて日本の刀匠や村下の技術力もすごいね。
 少し難しいけどプランクの式ってどんなものか調べてみてもいいね。
 

次回は・・・「たたらと伝統文化②」鉄と鋼って何が違うのかな?  7月26日(火)(予定)  

お楽しみに!