公開日 2022年06月28日
(前回のコラムの続きです。今回は「たたら製鉄」についてアロイ先生が詳しく語ってくださっています。)
たたら製鉄ってどんな製鉄法?
たたら製鉄は、釜土とよばれる土で炉を作り、炉の中で木炭を燃やし、炉に砂鉄を投入して鉄にしていくんだ。アニメ「もののけ姫」にも出てくるけど、ふいごを使って炉に空気を送り続け、炉の温度を上げ、砂鉄が炉の土と反応して、不純物がノロとなって流れ出し、鉄分だけが炉の下部に落ちていく。最後に炉を壊して底にたまった鉧(けら)を採り出し、その中から上質な玉鋼(たまはがね)といわれるものが日本刀を作るのに使われた。江戸時代には戦は少なくなっていたから日本刀だけでなく、農機具などを作るのにもたたら製鉄の鉄は使われていたよ。
日本には鉄鉱石が少なかったので砂鉄を使った製鉄法が発達したんだね。中国地方の山陽側では火山岩質の地質、山陰側では鉄分を含んだ花崗岩質の深成岩の地質で、初期のころは山陽側でたたら製鉄が行われていたらしいけど、次第に山陰側に移ってきたようだね。山を丸々崩して砂鉄を集めているけれど、砂鉄を集めるのも「鉄穴(かんな)流し」といわれる方法で鉄分の多い砂鉄を選別していたんだ。山を崩した後は土壌改質などをして棚田として利用したりもしたんだ。
たたら製鉄は、木炭を作る人、砂鉄を採る人、たたら製鉄で働く人、出来た鉄を山から運ぶ人、日本海側の港から北前船で日本各地に運ぶ人と、多くの人がかかわり、大きな産業になっていたんだね。江戸時代には日本の鉄の8割が中国地方で作られた鉄だったようだよ。当時の日本の重工業地帯だったと言えるかもしれないね。
現代の製鉄法はどんな方法なのか調べてみよう。
次回は・・・「たたらと伝統文化①」鉄は熱いうちに打てってどういうこと? 7月12日(火)(予定) お楽しみに!