Project
NEXTAでは、県内素材メーカーを中心に、関係企業や行政機関とともに、産官学連携による2つの研究プロジェクト「航空機産業プロジェクト」「モーター産業プロジェクト」を推進しています。さらに、未来の材料分野をリードするイノベーション人材養成を目指す「人材育成プロジェクト」が進行中です。これらプロジェクトを簡単に紹介します。
航空機産業プロジェクト
世界と戦える、航空機エンジン用素材を島根より発信
航空機エンジン用素材である超耐熱合金は耐食性、耐酸化性、高温強度に優れた合金です。グローバリゼーションが進展していく中、ジェットエンジン部品の市場は大きくなっていくことが予想されており、優れた材料の出現が待たれています。島根県内企業で生産する航空機エンジン部材向けの材料の受注は年々拡大していますが、その最重要部材である大型鍛造部品は、国内で生産されていない状況にあります。
本プロジェクトでは、国内外の大学等の支援を得て、島根大学を中心とした産学連携による共同研究体制を構築することにより、まずは、超耐熱合金を使った大型鍛造部品の製造技術を確立します。新素材の開発・改良を進めることで、エネルギー分野(ガスタービン)での受注獲得から、最終的には、航空機エンジン用大型鍛造部品の素材生産を含めた純国産化を実現し、日本の航空機産業の発展に寄与することを目標とします。また、航空機分野での受注拡大や生産性向上のため、県内企業が連携した一貫生産体制の整備を目指し、企業ごとの強みを活かしながら、加工領域の拡大や特殊工程(熱処理・非破壊検査等)機能の確保に必要となる技術の習得を島根大学、松江工業高等専門学校、島根県が連携して支援します。 さらに、県内企業が航空機クラスターの拠点となる共同加工施設を整備し、関連企業の連携を促進するとともに、事業の生産性と品質の向上を実現します。
モーター産業プロジェクト
アモルファスモーターの生産拠点へ
アモルファス合金は金属であるにもかかわらず結晶になっていない材料です。アモルファス合金は通常の金属とは異なる特性を持ち、優れた軟磁気特性を示すことが知られています。この特性を利用すると、高効率・高回転、小型・高出力密度のモーターが実現できます。
島根県内にはアモルファス金属の国内最大の生産拠点が存在します。本プロジェクトではこの利点を活かし、島根大学が有する材料評価技術と新たな加工技術の開発により、難加工性という課題を解決し、専門人材の育成や県内企業への技術移転を通じてアモルファスモーターコアの量産化を目指します。さらに、ベンチャー企業の創出やモーターメーカーの誘致することで次世代モーターの生産拠点化を目指していきます。
人材育成プロジェクト
卒業後はものづくり産業でグローバルに活躍
島根大学は、たたら製鉄の歴史を背景に、松江工業高等専門学校や県内企業とともに培ってきた金属材料の評価・加工に関する知見・技術と、国内外の大学における最先端の金属材料工学により、当地で連綿と受け継がれるものづくりの精神をバックボーンに持ちながら、未来の材料分野をリードするイノベーション人材を養成します。
そのため、金属工学に特化したコースの新設、インターンシップ、PBL プログラム等により、学術的知識とともに産業界における即戦力スキルを育成します。さらに、連携するオックスフォード大学の教員による英語での工学系の授業、官民協働海外留学支援制度(トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム)等の活用による海外大学・研究機関への留学を促進することで、グローバル人材としての対応力の習得を図ります。
基盤研究推進
島根大学は金属材料に関して世界トップレベルの原子~ナノ~ミクロレベルの組織解析技術を持っています。さらに、計算科学的アプローチや、機械強度試験の専門家も揃い、金属材料開発の研究基盤が整っています。
これら技術シーズで航空機材料やアモルファス材料の研究開発、さらには研究活動を通じた人材育成に貢献します。