SUSANOOエンジンにTiAl製ブリスクを搭載

公開日 2026年05月15日

  内閣府地方大学・地域産業創生交付金事業「先端金属素材グローバル拠点の創出-Next Generation TATARA Project-」(NEXTA 令和5年から令和9年まで「展開枠」として採択)では、航空機産業プロジェクトで株式会社キグチテクニクス(安来市)と共同開発している高強度TiAlプロジェクトにおいて作成したTiAlを同じく加工高度化プロジェクトに参画している株式会社秦精工(安来市)にてブリスクに加工しました。作製したTiAlブリスクはマイクロガスタービンエンジンやエンジンで発電した電気を使ってモーターで走行するシリーズハイブリッド車、発電機、ドローンなどでの利用を想定しています。
 このブリスクをNEXTA 新城淳史教授と特殊鋼加工技術を中核に航空機産業を目指す企業グループSUSANOOが共同で作成したSUSANOOエンジンのタービン動翼部分に採用して、自立運転を目指し、燃焼試験を4月27日に行いました。
 毎分16,500回転し約3分間運転しましたが自立運転には至らず、排気温度1,000℃超になったため試験を中断しました。試験後の外観確認では、TiAlブリスクに明らかな破損や大きな変形は認められませんでしたが、詳細観察および追加試験により確認していきます。また今回の結果から、ブリスクの空力的なデザインと圧縮機とのマッチングに課題があると考えられるため、設計を見直し、再チャレンジします。
photo1

■開発者の声
○株式会社キグチテクニクス 試験部 遠山文夫氏
今回の取組では、NEXTAにおける材料開発の成果を、島根大学およびSUSANOOの皆様との連携により、実際の小型ジェットエンジンという具体的な形で評価する機会をいただきました。TiAl基合金は軽量で高温特性に優れる一方、加工や品質管理が難しい材料ですが、ブリスク形状への加工から実機試験まで一連の検証を進められたことは、大きな前進と感じています。今回の結果から、材料としての可能性とともに、翼型や空力設計、エンジン全体とのマッチングに関する課題も明確になりました。今後は、大学および地域企業の皆様と連携しながら、得られた知見を次の設計・評価に反映し、航空機、発電、次世代モビリティ分野への展開を目指して研究開発を進めてまいります。

○SUSANOO事務局 山根不二夫氏
SUSANOOエンジンを開発した目的は、SUSANOOは航空機産業の参入を目指してクラスター活動を開始した時期に、SUSANOOのシンボルとして作成したものです。
コンセプトは地元の素材をできるだけ使う(株式会社日立金属(現 株式会社プロテリアル)の特殊鋼材、株式会社日立メタルプレシジョン(現、株式会社プロテリアルプレシジョン)の精密鋳造材等)。また加工はSUSANOO企業全社で分担し、自社の加工技術をPRできる工法で作る。設計、組み立ては島根大学にお願いして産学協同で自立運転を目指すというものでした。
無事、自立運転は達成し、展示会等でSUSANOOジェットエンジンの動画を現在も流しており、顧客の反応も良いです。
今回、新材質の実装評価用にSUSANOOエンジンを活用いただき、大変感謝 するとともに今後の材料開発の一助になることを念願しております。

 

文責:NEXTA 柴田雅光