公開日 2026年01月23日
内閣府地方大学・地域産業創生交付金事業「先端金属素材グローバル拠点の創出-Next Generation TATARA Project-」(令和5年から「展開枠」として採択)では、令和7年12月18日(木)に島根大学材料エネルギー学部棟にて、NEXTAフォーラムを開催しました。
NEXTAフォーラムは島根大学次世代たたら協創センター(NEXTA)が、研究成果の社会実装、多種多様な企業、研究者とのオープンイノベーションで新たな価値を創出する機会として、2021年4月より開催し、今回で24回目となります、
今回は、まず、松本真悟副学長(産学連携・イノベーション担当)が島根大学の産学連携活動の特徴や地方大学が抱える課題等についての講演を行いました。その後マテリアル研究の第一人者である、NEXTAセンター長ロジャー・リード オックスフォード大学教授が「オックスフォードにおけるマテリアル研究と事業展開」、客員教授キャサリン・レイ ケンブリッジ大学名誉教授は「ケンブリッジにおける産学連携の研究開発」について講演しました。今回の講演は日英同時通訳付きで開催され、教員や企業等合計115名の参加がありました。うち約半分がオンライン参加し、島根大学学生27名も参加しました。
材料工学分野において、大学と企業との知の共有と共創による持続的な社会価値の創出においては、日本も英国も企業の早急な事業展開と大学の学術的な発表という時間軸の問題や、知的財産の扱いなど、同じ課題があることを、世界最先端の研究者の生の声でお話しいただきました。
講演を振り返って、リードセンター長からは「I would like to express my sincere thanks to all those who attended this workshop. I myself learned a great amount! I hope we can do this again! (この度のNEXTAフォーラムにご参加くださった皆さまに、心より感謝申し上げます。私自身も多くの学びを得ることができました。またこのような機会を持てることを願っております。)」との言葉がありました。
これからもNEXTAでは材料工学の領域で世界の最先端とつながり、技術と情報を提供し、学生の知的好奇心の充足と地域活性化に寄与していきます。
〇松本真悟副学長(産学連携・イノベーション担当)
第24回NEXTAフォーラム「Designing Materials Research」を盛会に終えることができ、ロジャー・リード教授、キャサリン・レイ教授、そしてご参加いただいた皆様に深く感謝いたします。
両教授の講演から、世界トップレベルの大学がいかに戦略的に先端科学を社会価値へと転換しているか、その圧倒的なダイナミズムを肌で感じることができました。また、本学が推進する「マテリアル」を共通言語とした異分野融合や、研究成果を社会実装へ繋げるエコシステムの構築が、世界的な潮流の最先端と軌を一にするものであると強く確信しました。
学生の皆さんには、ここNEXTAが世界と直結する「知の結節点」であることを強く意識してほしいと思います。世界最高峰の知見に触れ、自身の研究が社会をどう変えうるかという高い視座を持ってください。この恵まれた環境を糧に、島根から世界へイノベーションを巻き起こす気概を期待しています。
〇キャサリン レイ客員教授(ケンブリッジ大学名誉教授)
It was a great pleasure to contribute to the NEXTA 24th Forum in December and to share some of the insights I have gained working with Industry over the last 40 years. The industrial scene is changing fast, and companies need to innovate to stay competitive. Universities can play and important role in this both contributing to that innovation directly but also educating students about the specific needs of industry. These include a pragmatic approach to problems, delivering within a prescribed timescale often dictated by commercial cycles and the need for confidentiality. These can be very far from the norms of academic research, but can make for a fast moving and focused research environment. Working with industry can also be a very effective route for students to find jobs, and for companies to recruit talented staff. It is important too for companies to understand how industrial research contributes to the role of the University, both in terms of educating young people and also in their research mission. Universities need to publish their work in the open literature – a requirement often clashing with the need for confidentiality. This requires imaginative and skillful construction of projects which include elements of general understanding which can be published, and specific insights and innovation which can either be protected by patents or remain confidential. Often a deeper understanding leads to innovation in a way simple contract research does not, but companies often need to be persuaded of this.
(12月に開催された第24回NEXTAフォーラムにて、産業界と40年間にわたり連携してきた中で得た知見を共有する機会をいただき、大変光栄でした。産業界の状況は急速に変化しており、企業が競争力を維持するためにはイノベーションが求められています。
この点において、大学は、イノベーションに直接貢献すること、そして産業界の特有のニーズに応える人材を育成することの両面で重要な役割を担っています。こうしたニーズには、課題を実践的に捉える姿勢や、商業サイクルに左右されることの多い所定の期間内で成果を出す能力、そして守秘義務の遵守などが含まれます。これらは学術研究の慣習とは大きく異なる場合がありますが、迅速で焦点の定まった研究環境を生み出すことにもつながります。
産業界との連携は、学生にとっては就職の有効な道であり、企業にとっても優秀な人材を採用する機会となります。また、企業が、産業研究が大学の役割—若者の教育と研究ミッション—にどのように寄与しているのかを理解することも重要です。 大学は、研究成果を公開文献として発表する必要がありますが、この要件はしばしば企業側の守秘義務の必要性と衝突します。そのため、公開可能な一般的知見と、特許によって保護すべき、あるいは秘密として保持すべき特有の考えやイノベーションなど要素を見極めながら、創造的で巧みなプロジェクト設計が求められます。 より深い理解が、単純な研究契約では得られない形でイノベーションにつながることも多いのですが、企業側にはその価値を理解してもらう必要性が生じることも少なくないのです。)

文責:NEXTA 柴田雅光



