公開日 2025年08月08日
2025年7月14日(月)に松江南高校で行われた『第2回朱雀サイエンスセミナー』において、次世代たたら協創センター(NEXTA)の荒河一渡教授が講義を行うとともに、総合理工学部の北川裕之准教授が走査電子顕微鏡(SEM)によってミクロの世界を生徒さんに体験してもらうデモンストレーションを行いました。
このセミナーは、文部科学省SSH指定校である松江南高校探究科学科1年次生のために開催されたもので、「金属材料のミクロな世界」と題しておこなわれました。
講義では、荒河教授が材料研究を志したきっかけや、次世代たたら協創センター(NEXTA)の紹介が為された後に、「金属の変形は原子配列の乱れ(欠陥)の移動によって起こる。優れた金属材料の開発には、欠陥の制御が必須となる。欠陥を制御するためには、欠陥の振る舞いを原子~ナノ~ミクロのレベルで解明する必要がある。」と、金属の構造や変形、およびそれらを調べるための電子顕微鏡の重要性について説明が為されました。
今回のSEMのデモンストレーションのために、NEXTA は、SEMを高校の教室へ実際に持ち込みました。これは、島根大学としても、島根県の高校としても、おそらくは初めての試みでした。卵の殻や塩の粒など身近なモノのミクロな世界で初めて見えてくる不思議なかたちに始まり、金属の変形に伴う表面パターンやジェット機のエンジンに使われる超耐熱合金の高温強度の秘密を、生徒さんに目の当たりにしてもらいました。教室からは、折々、生徒さんの驚きのどよめきが起こりました。
グループワークとしての演習では、電子顕微鏡のレンズである磁界型レンズの原理を題材として、一見難しそうに見える現象が、理科の単純な法則を上手に利用すれば理解し得ること、すなわち理科の威力の一端を、生徒さんに実感してもらいました。
本セミナーが、受講した生徒さんにとって貴重な刺激となったこと、並びに高校および大学の関係者の皆様が、高大連携理科教育のより有効なありかたを考えるきっかけとなったことを願っています。
今回おこなわれた SEM の持ち込みは、株式会社 日立ハイテク(東京都)様のご協力のもと、有限会社 友田大洋堂(松江市)の皆様による並々ならないご尽力によって実現したものです。ここに、心からの謝意を表します。
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