公開日 2025年08月01日
内閣府 地方大学・地域産業創生交付金事業「先端金属素材グローバル拠点の創出-Next Generation TATARA Project-」(NEXTA)(令和5年度~令和9年度「展開枠」採択)では、「先端金属素材の中心地『島根』の創出」を目指し、2つのプロジェクトによる産学連携の研究開発を推進しています。
2025年7月23日~25日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催された「TECHNO×FRONTIER 2025」(主催:一般社団法人日本能率協会)では、モーターを中心とした研究成果を発信しました。展示会には約29,000人が来場し、NEXTAブースには3日間で500名を超える方々にご来場いただきました。
展示ブースでは、NEXTAの研究テーマを紹介するポスターを掲示し、アモルファス金属製モーターコアと従来の電磁鋼板製モーターコアの性能比較を、ドローン用モーターやダクテッドファンモーターを用いた実演によりご覧いただきました。出力の向上や損失の低減など、実際の効果を体感いただける展示となりました。また、加工状態をモニタリングするチップ摩耗検知システム(MACE)の試作品も展示し、来場者の関心を集めました。NEXTA参画企業のパンフレットも配布し、株式会社プロテリアル、株式会社守谷刃物研究所、SUSANOO(株式会社キグチテクニクス、秦精工株式会社、株式会社MAKATA)も出展。各社が相互に連携しながら、来場者に活動内容を紹介しました。
今後もNEXTAでは、研究成果の積極的な発信と利活用を通じ、地域産業の発展に貢献してまいります。
■研究者の声
次世代モータープロジェクト 研究代表 太田元基教授
展示会への出展は2018年に次世代たたら協創プロジェクトが発足した当初から検討していた大きな一つのチェックポイントでした。まず、展示会をつつがなく終えることができ、一安心しています。
モーター産業プロジェクトでは主に3つのテーマ(①ユニークな軟磁気特性を有するアモルファスやパーメンジュールの魅力の発信、②難加工材であるアモルファスやパーメンジュールなどの加工の効率化、③これらの合金の変形・破壊過程のメカニズム解明)を進めてきました。これら3つのテーマが順調に発展し、ある程度まとまった成果が得られ、対外的にもアピールできるコンテンツが十分集まっていると判断し、今回の出展に至りました。
特にモーター産業プロジェクトの将来展望を考えた時に、私たちのモーターコアが大きなアドバンテージになる市場とのめぐり逢いが成功へのカギだと考えられます。そのため、紹介の際は「モーターコアが持つ魅力的な特性である低発熱や高回転・高パワー密度などをいかに潜在的顧客のアドバンテージに変換できるか」という問いを念頭に、未来のパートナーにNEXTAおよび本プロジェクトの存在を印象付けられるように展示・デモを行いました。
展示会後の印象として、初見の方に対してはインパクトがあるアピールができたと思います。また、モーターに精通していてアモルファスのことも知っている方々に対しても、アモルファスが高パワー密度化にも有効であることの印象付けができたと思います。(知っている人ほど、アモルファスは低ロスだが、低パワーという思い込みがあるため)
■参画企業様より
株式会社守谷刃物研究所 東京営業所 所長 太田守彦様
今回の「テクノフロンティア2025」では、NEXTA、プロテリアル、守谷刃物研究所の3社が連携し、高効率モーターであるアモルファスモーターの実現に向けた展示を行うことができました。材料、コア、アプリケーション、それぞれの視点から量産化への道筋を示すことで、来場者にとって非常に有意義な展示となり、市場の関心を喚起できたと考えております。
展示をご覧いただいた方々にとっては、これまで高効率であると認識されながらも、本格的な普及に至っていなかったアモルファスモーターを実際に目にすることで、具体的な製造イメージを持っていただけたのではないかと思います。これにより、普及の加速が期待されます。
今後も、NEXTAを中心とした「たたらプロジェクト」における連携をさらに深め、地域の産学連携体として新製品・新技術を市場に送り出してまいりたいと存じます。
文責:NEXTA 柴田雅光
※展示内容に関するお問い合わせ
島根大学 研究・地方創生部 地方創生推進課 NEXTAプロジェクト推進室
Tel:0852-32-6138
Mail: tatara(a)office.shimane-u.ac.jp ※(a)を@に置き換えて送信ください。